欧陽詢『九成宮醴泉銘』の表現の秘密と書風について
2015年06月12日
[毛筆の書き方]
書の『表現技法』を考えてみましょう、日常生活の中で、文字に対する評価や見方がわからないという声をよく耳にします。
実際筆を持ち、この世界にどっぷり足を踏み入れると、書の良し悪しは見えてくるものですがここに、その表現技法を欧陽詢の作品を通して分析しまとめてみましょう。
書の表現技法は下記の3つに分けられます。
- 1)用 筆(筆使い—点画の書き方)
- 2)結 体(字形—組み立て方)
- 3)章 法(大きさや位置—並べ方)
この3者のお互いの緊密な因果関係で作品がつくられます。
欧陽詢の九成宮醴泉銘は世間から『楷法の法則』と言われていますが九成宮醴泉銘(欧陽詢)を掘り下げて解析してみましょう!
貴方の技量が上がるにつれて、欧陽詢がいかに、すごい書家であることに気ずき、作品を見直すごとに新たな、発見があります。
用筆(筆使い—点画の書き方)
点画は至ってシンプルで表情の乏しい起筆:縦画など簡単に見えますが、逆方向から穂先を突き(逆筆)上げ、もと来た道を通るといった筆運び筆先を蔵し、鋭さと筆の弾力をつけている。
見本下何故それぞれの画が離れているか、わかりますか?
このブログを最後まで丁寧に読みますと 理由がわかります。
下の三画がそれぞれ離している理由を回答しましょう!
答:後にも説明がありますが、欧陽詢は背勢の構成で表現していますがこの技法は、欠点として、せま苦しいく、堅い、委縮した感じになってしまいます。
すなわち、その問題をクリアするためです。
それっぞれの各数を離すことで、広がりや、伸びやかさが出ます。
欧陽詢はすごですネ!
『下』の二画目を離す、大胆な発想がスゴイですね!
下記の『孟』の皿もそうです。
中の2点の点画による、空間の取り方無やみに、接点にせずはなすことによって、せま苦しさ、堅さ、委縮さを解決しているのです。
見本 孟 横画が右に放射状になっています 何故でしょうか! 回答は画像をクリックしてください
横画:
短いものを除いて、すべての横画が強靱で弾力ある表現です。
直線に近い表現ですがよく観察してみると、
- 1)たわみ
- 2)そり
- 3)湾曲
があります
横画は起筆の頭部が少し軽く、後半の終筆に近づくほど重い線質です
線の太さも終筆に近づくほど太くなっています。
後半の右上がりのリズムのところでも触れます。
縦画: 直線に近い表現ですが字の態勢が中心部で引き締まる様に、背勢になる様に湾曲させています。
左はらい:刀法と言われ様に、力強い。
又、縦画、横画同様に円弧を描くように、湾曲している。
右はらい:三折法をふくみながら、最終はらいは比較的短く、鋭く、重みがあります。
はね:穂先のどげとげさがなく、直角の方向に筆を整えながら短く、重く処理している。
見本 則
結体 :九成宮醴泉銘が背勢であることは、だれもが知っていることです。
背勢に表現することは緊張感が表現されますが、逆に欠点とし」引き締めることによって、せま苦しいく、堅い、委縮した感じになってしまします。
その欠点に陥らない様に、九成宮醴泉銘には絶妙な配慮がされています。
下記『則』と『夏』『孟』で解説しましょう!
配慮 1. 周囲が囲まれている横画、縦画の表現、どこにも接しない様に明るく風通しを良くして、欠点を補う、表現方法が実にうまいですね。
『九成宮醴泉銘』を学ぶときは、この表現を学んでほしいものです。
乃ち、ある程度文字が書ける様になりましたら半紙の黒に注目のみならず、白い部分の余白に目を向けて臨書に望んでください。
結体で見ますと
『相譲相避』は当然ながながら、文字中の縦、横の画数の多い文字の表現、どれも長くしないで、一本、一対のみ強調した
ワンポイントの見せ方、表現が見事です。
この表現が、欧陽詢の九成宮醴泉銘には見られ、背勢の表現で陥る緊張感を開放させているのです。以上の様はポイントに目を向け、鑑賞、臨書くだされば本物の学習が出来、あなたも更に一歩上達し、欧陽詢に迫る表現が身につきます。
まだまだ、説明したいことがありますがこのあたりでやめます。
下記も合わせてお読みください。
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欧陽詢の字形の解析
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