月刊競書雑誌『不二』有段課題「寒来暑往」懐素の小草書千字文の臨書の解説、白洲書道教室
2015年04月27日
[中本白洲の書道教室][毛筆の書き方]
この記事は白洲書道会、上級者、有段者の会員に向け書きました
千字文
千字文は「天地玄黄」から「焉哉乎也」まで、
悠遠なる天地自然の理法から始まり
古来の人生観を織り交ぜた内容です。
文中に引用されている故事や成語は『易経』『書経』『誌経』…
『孟子』『老子』『史記』に始まり
倫理などの森羅万象(しんらばんしょう)
について述べた、4字を1句とする250個の
短句からなる韻文です。全体が脚韻により
9段に分かれています。

真跡『小川本』を紹介 読み 女は貞潔を慕い、男は才良をならえ。過ちを知りては必ず改め、能を得てはわするることなかれ。彼の短を談ずるずることなかれ。 今日にも通用する言葉です。千字文はこのように文面を味わいながら学習が出来ます。
千字文はかつて、漢字の初級読本でもあり。
また、
書道のお手本に使われ、歴代の能書家が
千字文を書いている。中国では智永(隋)、
褚遂良(唐)、孫過庭(唐)、張旭(唐)、
懐素(唐)、米元章(北宋)、高宗(南宋)、
趙子昂(元)、文徴明(明)などが有名です。
日本でも有名なものに巻菱湖(江戸)、市河米庵(江戸)、
貫名菘翁(江戸)、日下部鳴鶴(明治)、
小野鵞堂(明治)などがある。
書道の手本としては、智永が楷書と草書の
2種の書体で書いた『真草千字文』が有名です。
その後、篆書、隷書、楷書、草書で千字文を
書いて並べた『四体千字文』などもあります。
現在の私達が学ぶには、上記より下記の
犀水千字文をお勧めします。
私は 日本書道教育学会の恩師(故人)
『石橋犀水』先生の犀水千字文、中でも草書千字文を
大学生1年生の時から4年生まで
毎朝、毎晩 当時学生の間で麻雀が流行っていたが
に目もくれず、一日に2~3時間、筆を持ち書道の練習をしていました。
学生で半紙代もなく、その頃は毛辺101が一締(2000枚)が800円で購入出来
約2000枚位/月 の半紙に練習をしていました。
これを4年間近く継続したものです。
目標は犀水先生が若き時代に学んだ方法をまねたのみです。
(犀水先生は千字文を暗唱されていた)
私も暗唱できる迄書きつずけました。
千字の漢詩をほとんど暗唱するほど練習
お手本がぼろぼろになるほど練習をして
大抵の草書体は読み書きが出来ように
なった。
当時は毎週日曜日は中野の犀水先生宅にお邪魔して、先生の書斎に
通い夢中で勉強していました。
当時先生の優秀なお弟子さん達が
出入りしていました。

左:石橋犀水 右:筆者(中本白洲)は大学生であった頃、犀水先生の書斎で添削指導いただいている様子です。 中野の石橋犀水先生宅 2階書斎にて 昭和44年(1969年)ころの写真で、今から46年前の様子です。犀水先生との出会いは約50年昔のお話になります。 当時活躍のお弟子さんたちは現在学会の小久保くらいで、多くの方はなくなってしまい 当時若かった私がこの歳になってしまいました。
今日の基本がこの時期の学習により身についた気がします。
今回は 懐素の草書体の臨書が課題です
ここに参考に揮毫してみました。
良い勉強方法は、必ず 五體字類で 調べなぜこのように
行書は表現できるのか、確認しながら勉強をすることを
お勧めします。 要するに、草書体を覚える楽しみも、
目的にして欲しいものです。
*********参考に犀水草書千字文を紹介**********************
これは私が40数年前の学生時代に利用していた
犀水千字文から撮影す
私が購入したのは昭和46年だと思います。
発行間もないタイミングで購入がが
今になってわかりました。
私が3年後
大学を卒業して
府中の『東芝ベックマン』の設計部就職した時の
初任給が28,300円であった時代です。
懐かしく
当時のことが思い出されます。
最後のペーには
昭和己酉孟夏無想庵於書 犀水
とあります
最後のこの2行も素敵ですね!
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